2021/3/7 03:13やっと投稿できたクレーム原稿
「あのー!もしかしなくてもこの執筆ツール、不具合ありませんか⁉」
深夜3時半、私の直接的なお問い合わせという名のクレームに、無事新コンテンツのリリースを迎え一息ついていたらしいイマジナリー管理人さん(イマジナリーなので実在はしないしきっと本体は寝ている)が顔を強張らせた。
「……なるほど、お手数おかけしました。どういうものですかね?差し支えなければ、後学のためにも教えてもらえると助かるんですが」
しかし動揺は一瞬であり、直ぐに表情を整えると事務らしい丁寧な返事をくれる。管理人さんはえらい仕事だと私は思わず感心した。ありがたいのでお言葉に甘えて指折り数えていく。私だって見境なくクレームを入れたいわけではないけどこれはもう不可抗力なのだ。
「ええと、そうですね、めちゃくちゃ文字の入力が難しいというか難しすぎるというかあっちこっち飛び回るというか、明らかにこのフォームが文字を書くことに対象じゃなさそうというか、いや弟ちゃんのお兄さんのコンテンツということで勢い余って手を出してる状況なのでなんかよくわかってないんですけど……あの、もしかしてこれ私がこのアプリの仕様とかを読んでないことに問題があったりします?」
明らかにこの状態でリリースにこぎつけるとは思えない動作の数々、つい薄ら考えていたことが口をついてしまった。いや説明書を読まないことに若干のプライドがあるんですよ分かってくださいよわかります?私の疑問に、管理人さんは微妙な顔で黙り込んだ。
「……」
「……」
「それは……読むべきですね……?」
「あっやはり?」
特に衝撃でもない回答だった。のんきに返す私に、管理人さんは額を抑えている。
「というか、待ってください、お使いのブラウザ……いえ、端末はなんですか?」
「お!弟ちゃんのご兄弟の方、聞いて驚いてください買って一ヶ月の新品スマホです〜!ぴかぴか!」
「はい、スマホはサポート外ですね」
「ゆ、ゆるせんが…」
私の新機種アピにもにべもない対応。呆然としていれば、思わず手元が狂ってしまう。
ぽちり。
「おあ?」
ブラウザバックを誤タップしたためか何故かログアウトしてしまう。あれ?ぶつぶつ何かしらのマニュアルを読んでいた管理人さんが、遠ざかる私に気づいてにこやかに手をふる。
「あ、ご退出ですね?お疲れさまでした。また来てくださいね〜」
「え?いやいや、あの、まだ原稿書き終えてないので入れて欲しい……入れない⁉ちょ、弟ちゃんの身内の人どうなってるんですか⁉」
「気になってたんですけどさっきからなんで弟の段階を踏んだ呼称になってるんです?」
なんと気づけばこの一瞬でTwitterの認証を求められては次の瞬間にはログアウトしている無限リダイレクト地獄に突入している。私はただ無茶苦茶なクレームを入れようとした負い目を隠すためこの宛先も行き先もない謎の原稿を投げたいだけなのに!もう横書きアプリで書いたほうが手っ取り早くなってる本末転倒、どうすれば⁉
「いえだからスマホは現在対象外なのでPCから投稿してくださいよ……」
「なぁにおっしゃってるんですかぷるんぷるんQooの欲しい物リストの人!こんなド深夜にPCなんか触っていいわけないでしょう!」
「いえスマホもだめでしょう、目が死にますよ」
「正論ですね…⁉」
イマジナリー管理人さんはイマジナリーなので規則正しく規律正しい整ったことしか言わないのだ。私はぐうの音も出ずにうずくまってこの文章が投げられるその瞬間を待つことにした。もしこの文章を読んでいる人がいるということは私はこのアプリに関する仕様の知識を手に入れたということになる。めでたい。ちなみに今は無限ロード地獄に突入している。多分これはだめなやつだと思うので概ね諦めて複垢を利用しようかと思っているところだ。
キミも新規リリースのコンテンツを半端な知識で適当に触るとろくなことにならないぞ!
アプリリリースおめでとうございます!スマホ対応も待ってますね!