2021/2/5 03:23魔王霧子と肩こり千雪
「なんね千雪お風呂入ったのに疲れた顔して」
「えっそんなことない……と思うけど」
「も~~隠したって無駄ばい!寮で一緒に生活しとるけんそれくらいんことはわかる‼」
「う、うん……そうだよね。実は最近肩こりがひどくって……」
 まさか顔にまで出ていたとは思わず驚いてしまった。アクセサリーを作るのが楽しくて夜更かしもしていたことが原因かもしれない。みんなのお姉さんとしてもしっかりしなくちゃいけないのに……今日は早く寝ないと。恋鐘ちゃん「霧子に相談するとよか!」って言ってたし明日聞いてみようかな。
 早速翌日のレッスン終わりに霧子ちゃんと一緒になれたので相談に乗ってもらった。すぐさま「ソファに座って」と言われた。肩を揉んでくれるそうだ。
「ふふっなんだかお姉ちゃんができたみたい」
「わあ……霧子ちゃんみたいな妹なら私も大歓迎よ」
「それじゃあはじめますね」
最初は肩たたきから。
「トン……トン……ふふっ」
心地よい振動と運動後の疲れで少し眠たくなってきた。
「もしかして千雪さん最近よく前かがみになったりしてます?」
「そうかも……小物作りに熱中しちゃったりして」
「背筋はよく伸ばした方がいいですよ……ふふっ」
霧子ちゃんの言う通り。年下なのにしっかりしているなぁ。
「次は揉んでいきます……痛かったら言ってくださいね」
「はい……んっ!」
「わっすみません痛かったですか?」
「いえ……気持ちよくて声が出ちゃったの」
霧子ちゃんの細い腕からは想像できないしっかりとした強さでコリを的確に解していくようにしっかり揉まれる。眠気が覚めるような、でも気持ちは解れていくような……
………………
15分くらいが経った。
「はい!いかがでしたでしょうか……?」
「すっごく気持ちよかった!ありがとう霧子ちゃん」
「いえいえ……それじゃあ一回立ってぐーって伸びてみましょうか」
言われた通り立ち上がり伸びをする。
「はい、ぐーっ……」
「ぐーっ」
「……ふふっ」
あれ?今一瞬霧子ちゃんの瞳の色が変わったような……
「千雪さん、もしよかったらリンパマッサージも体験しませんか?」
「わぁ!リンパマッサージ!聞いたことあります……‼」
「はい……!リンパの流れや血流の巡りを改善することで根本的な肩凝りや疲れの原因を取り除くんです」
「でもいいのかしらそこまでしてもらっちゃって」
「もちろんです……!」
霧子ちゃんの言う通りソファに仰向けになる。
「じゃあまずは鎖骨の周りから……」
細くて白い指が鎖骨のあたりを内から外へとさすっていく。それが終わると今度は耳の下から首筋へと手が伝っていく……普段からよく接しているのに時折霧子ちゃんと近くで目が合って少し恥ずかしい。
「気持ちいいですか?」
「はぁ……はぁ……はい!」
いつのまにか息が上がっていた。血行が良くなってきた証拠なのだろうか。
「次は脇の下のリンパの流れを良くします……!ちょっとくすぐったいかもしれませんが我慢してくださいね……」
霧子ちゃんの手が脇の下に手をいれる。
「ひゃあっ‼はは……やっぱりくすぐったい……‼」
「ふふっ」
くすぐったいけど気持ちいい。そして身体が熱い。
「あ、あの千雪さん……胸のリンパマッサージもありますが致しますか?」
胸のマッサージ……恥ずかしいけれど霧子ちゃんなら……
「はい、お願いします」
「わかりました」
霧子ちゃんの手が優しく私の胸を包み込む。
「んっ」
「もし嫌でしたらすぐに言ってくださいね」
優しく、優しく。円を描くようにさすっていく。
「ふぁ……ひゃん!」
思わず声が出てしまい霧子ちゃんの手が止まる。
「ふぇ……」
「大丈夫ですか?千雪さん」
「う、うん気持ちよくって……続けて?」
「ふふっよかった」
胸を内側に寄せたり下から上に持ち上げるような動きに変わっていく。やっぱりかなり恥ずかしい。
「はぁ……はぁ……んっんんぅ~~~~~~」
気持ちがよくて声にならない音をだしてしまうが霧子ちゃんはお構いなしにマッサージを続ける。どうしてこんなに上手なんだろう。そんな疑問が駆け巡る。
「このマッサージはバストアップの効果もあったり、リンパマッサージはスタイルをよくするのにも役に立つんですよ……!」
バストアップ……もしかして恋鐘ちゃんとかもしてもらってたのかな。私にも勧めてくれたし恋鐘ちゃんもスタイルいいし……
「んっんん~~~~~」
恋鐘ちゃんの事で思い出した。ここが事務所だってことを。思わず声を抑える。
「千雪さん気持ちよさそう……」
「はあ……はあ……ありがとう霧子ちゃん」
何分か経ってマッサージが終わった。信じられないくらいスッキリしていてとても気持ちいい。
「え?千雪さん……まだ下半身のマッサージがりますよ?」
「ふぇ?霧子……ちゃん……?」
……どうしよう、今日は替え持ってきてないのに。
………………
 数日後
「ん~~~~それなら果穂も霧子に相談するとよかばい‼」
「わかりました‼」
「霧子も気持ちよさそうって言ってたばい‼」
事務所い入った時に聞いた最初の会話に思わず耳を疑った。
「ちょ、ちょっと恋鐘ちゃん……?あれは果穂ちゃんにはちょっと早いんじゃないかな⁉」
強い口調でいきなり言ってしまった。
「ふぇ千雪どがんしたと……?」
ポカーンとする恋鐘ちゃん。
「あ!そうだ千雪さんにも聞いてみようと思ったんでした‼学校でアサガオを育ててるんですけど最近元気がなくなってしまって……どうしたらいいでしょうか?」
「え?アサガオ?」
思わず顔が真っ赤になった。