雨は好きだよ。
「結華ちゃん、楽しそうだね」
横目できりりんを見る、ビニール二枚越し。
「雨は好きだよ。傘に落ちる雨の音とか、水溜りに靴が浮く感じとか、楽しいから」
一目惚れで買った大きな飴柄の傘を大きく振り回して、きりりんの方に向き直る。
「……雨も、楽しそう」
「雨も?」
「結華ちゃんと一緒、傘の上で跳ねたり、それから水溜りに飛び込んだり……」
「あはは、そしたらきりりんの傘は、トランポリンみたいでもっと楽しそうじゃない?」
そう言って、彼女の傘の端っこをつつくと、くっついてた水滴が私の方に飛び込んできた。
「うわっ!」
「ふふ…… とっても元気な子……」
「やんちゃが過ぎるぞー!」
きりりんの傘は、全部透明なビニール傘で、水滴がその白い容姿を反射して、彼女の周りが白んで見える。透明で、綺麗なのがきりりんだけど、なんだかちょっともったいなくて、すこし可愛くしてあげたくなった。
「きりりんー、今度さー」
「うん……」
「今度さ、一緒に傘買いに行こうよ。透明で可愛いの」
雨は好きだよ、特に一緒の時は。